角型のケースには角型のムーブメントを使用する。
高級な時計には高級なムーブメントが使用されています。
スイス腕時計が世界の頂点を極めた1930年〜60年代の常識的だった原則が形骸化されて久しいです。
ムーブメントの画一化により通常の男性用丸型ムーブメントを使用し、角型のケースに収めようとすると丸型の直径を角型ケースの短径にする為に長径は大きくなり、ケースは大型化し高級品とは相反したデザインになってしまいます。
ケースを昔のように小さな角型にする為には女性用の小さな丸型ムーブメントを使用しなくてはいけません。
角型ムーブメントは設計の難しさと大量の需要がない為コスト高となり、ジャガールクルトのキャリバー822を除いては、ほぼ製造が不可能でした。
1998〜99年、バーゼルで当店の厳しい基準に合格した角型ムーブメントを発見しました。
それが今回の原形となったムーブメントです。
2002年、スイス ルロックルのフィリップ・ドゥボワー社が発表した角型インジケーター付を見た時になんとかこの優秀なムーブメントにムーンフェイズを付加して、過去にあまり例のない角型ムーンフェイズを太安堂オリジナルの第3作目として作りたいと思いたちました。
ケースも当初のモデルがジャガールクルト風であったのを改めさせ、文字盤も1作2作の実績をもとにブレゲ数字を使用し、現在ではごく一部のメーカーのみが使用している植字方式を採用しました。
ムーンフェイズも月を単なる印刷でなく曲面高級仕上げとしました。
大き過ぎず小さ過ぎず軽い防水ケース。
太安堂のシンボルマークともいうべき12時位置には植字のブレゲ数字(太安堂の電話番号も1200)が文字盤の頂点を占め現存する角型の中でも1,2を争う優秀なムーブメント等納得がいく角型ムーンフェイズ付時計が第3作目として完成しました。