太安堂本店店主 栗崎賢一の時計使用体験レポート1-8
ユンハンス社製 世界一のウェストミンスターチャイム付ホールクロック
昔からの町の時計屋では標準時計という精度の高い柱時計を常備していました。
お客様からお預かりした時計の修理が完了し、お渡しする時に正確な時刻に合わせる為です。
当時の正確な時計の必須条件は長い振り子と一定の力を供給する為の重り(重錘).を使用する事でした。
その為、一般家庭では設置が難しい1m50cm以上の長さが必要でした。
以前より太安堂本店では文字板にSEIKOSHAと記入されてはいますが中の機械は日本で製造できなかった為、アメリカ製の機械が採用された柱時計を120年間使用してきました。
時刻は正確でしたが時打ちと言われる音で時刻を知らせる機能は付いていませんでした。
大きな時計店は精度の正確な時計だけでなく時打ち付の標準時計を備えていました。
時打ちの中でも最高級なのは15分後とにイギリスのウェストミンスター宮殿に付属する時計塔(ビッグ・ベン)の音色を奏でる時計であり、その最高峰に位置していたのがドイツのユンハンス社製です。
現在のユンハンスはスイス製のムーブメントを使用し、バウハウスの正統派デザインを取り入れた当店好みの腕時計を製造していますがウェストミンスターホールクロックは作っていません。
小さな時計店の太安堂本店の夢は、いつかユンハンス社製のウェストミンスター打ちホールクロックを店内に設置することでした。
ホールクロックは機械式腕時計のピークである1930〜70年よりも更に古い時代にピークを迎えていたので探しても見つかりませんでした。
その長年の夢が奇しくも創業120周年の年に叶いました!
後継者がいない為、閉店する老舗時計店が引き取り手を捜しているのを長年取引している問屋さんからお聞きしました。
そのお店も自社で修理をしていたので現在まで残っていたのでしょう。
メーカー名等の詳細は不明のまま受け取りに伺い文字板に目をやると6時位置に『J』マークが印されていました。
世界一のクロックメーカーJunghansのトレードマークです。
感動を覚えながら重錘と振り子をはずし、弟と一緒に最新の注意を払い車に積み込み、当店の一番目立つ場所に設置しました。
設置当初は1日にマイナス10秒位でしたが、4月30日から毎日ザ・シチズンで誤差を測定し、遅れ進みの調整を開始しました。
振り子の位置をネジで微調整するのです。
調整を続けた結果、現在は以下の精度に合わせこむ事が出来ました。
6月5日 +13秒/週
12日 +5秒/週
19日 -14秒/週
26日 -6秒/週
7月3日 -11秒/週
10日 +3秒/週
17日 +2秒/週
24日 -13秒/週
ユンハンスは1秒運針なのでザ・シチズンで合わせるのが最適です。
精度は毎日チェックしていますが重錘の巻上げが1週間毎なので振り子による歩度の調整も1週間に1度行います。
ハンマーが棒鈴を叩く音色は空気を振動させるのでベルリンフィルやウィーンフィルの生演奏と同様で電子音とは別物です。
御来店の際は是非お聴き下さい。
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