10数年、過去に作られた軍用時計を見本にしてETAの懐中時計用のムーブメントを使用し44mmの巨大な腕に巻く時計が作られました。
この時計がきっかけでデカ厚の高額時計の人気が高騰し、既製の時計メーカーも巻き込んで一大ブームとなりました。
若い人がカジュアルな服装で日に焼けた腕に大きな時計を着けているのは確かに格好良いと思います。
ただ、スーツを着て、フォーマルな服装の時にワイシャツの袖の中に納まらない時計をするのは長い間時計店を営んできた私には理解出来ませんでした。
機械式時計が機械的に頂点を極めた1930〜1970年中期、紳士用の時計は30〜35mmの大きさでした。
精度の追求と小型化する事が高級機械式腕時計の究極の目標だったからです。
大きなケースが必要なスポーツウォッチも37mmを超える事はありませんでした。
腕時計で最も美しいデザイン時計と言われたPP社のリファレンス96、VC社のティアドロップは30mm前後、R社の防水自動巻も35mm以下でした。
主張し過ぎることなく、持ち主のセンスの良さを感じさせる標準サイズの時計を紹介したいと思います。